令和5年1月施行 経営事項審査の主な改正内容

令和4年8月15日に公布された経審改正が令和5年1月に施行されます。令和5年1月1日以降に申請する経営事項審査より、改正後の基準による審査となり、これに伴い申請書類等の様式も変更されますのでご注意ください。ここでは経営事項審査の主な改正事項について、改めて確認していきましょう。

その他社会性(W)の改正

今回の改正では、その他社会性(W点)の部分が改正されます。下図の通り、項目はW1~W8にまとめられ、一部項目の新設や拡大、追加がなされました

出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000837271.pdf)

【新設】ワーク・ライフ・バランス(WLB)に関する取組

建設業界では働き方改革を推進することにより、女性を含め、将来にわたって担い手の確保を図る必要があり、業界全体のイメージアップのためにも、働き方改革に業界全体として取り組むことが重要視されています。これまで、主観点として加点の対象としている自治体もありましたが、今回、経営事項審査でもワークライフバランスに関する取組が新たに評価されることとなりました。

具体的には以下の認定を審査基準日に取得している企業が加点対象となります。配点は以下の表のとおりです。なお、複数の認定を取得している場合は、最も配点の高いもののみ評価されます。

  • 「えるぼし認定」:女性活躍推進法に基づき、厚生労働大臣が認定。一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に、基準を満たす数により1~3段階で認定。さらに、えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合には、プラチナえるぼしに認定。
  • 「くるみん認定」:次世代育成支援対策推進法に基づき、厚生労働大臣が認定。一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、行動計画に定めた目標を達成し、一定の要件を満たした企業を「子育てサポート企業」として認定。より高い水準の取組を行った企業が、一定の要件を満たした場合にプラチナくるみんに認定。
  • 「ユースエール認定」:若者雇用促進法に基づき、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の事業主)を厚生労働大臣が認定。若者の採用や人材育成に積極的で、「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定しているなど、12項目の基準をすべて満たす必要がある。
認定の区分配点
プラチナえるぼし
えるぼし(第3段階)
えるぼし(第2段階)
えるぼし(第1段階)
プラチナくるみん
くるみん
トライくるみん
ユースエール

【新設】建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施(CCUSの導入)
 ※令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請から適用

建設工事の担い手の育成・確保に向け、技能労働者等の適正な評価をするためには、就業履歴の蓄積のために必要な環境を整備することが必要であり、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用状況が加点対象となりました。こちらは令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請から適用されます。

審査基準日以前1年以内に対象となる建設工事について、1)CCUS上での現場・契約情報の登録、2)建設工事に従事する者が直接入力によらない方法でCCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備、3)誓約書の提出、のすべてを実施している場合に加点されます。上述の直接入力によらない方法とは、就業履歴データ登録標準API連携認定システムにより、入退場履歴を記録できる措置を実施していること等を指します。

審査対象となる工事は、以下の工事を除く審査基準日以前1年以内に発注者から直接請け負った建設工事です。

<審査対象から除かれる工事>

  • 日本国内以外の工事
  • 工事一件の請負代金の額が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円に満たない工事)・建築一式工事のうち面積が150m²に満たない木造住宅を建設する工事
  • 災害応急工事

審査対象工事のうち、民間工事を含む全ての建設工事で上記の措置を実施した場合には15点、全ての公共工事で上記の措置を実施した場合には10点が加点されます。ただし、審査基準日以前1年のうちに、審査対象工事を1件も発注者から直接請け負っていない場合には、加点されません。

【拡大】建設機械の保有状況

地域防災の観点から、災害時の復旧対応に使用され、また定期検査により保有・稼働確認ができる代表的な建設機械6機種の保有について加点がされてきましたが、今回、実際の災害対応において活躍しているものの、経営事項審査上は加点対象となっていなかった建設機械にまで、対象が拡大しました。今回新たに対象となった機械は次のとおりです。

  • 土砂の運搬が可能な最大積載量5トン未満のダンプ(ダンプ、ダンプフルトレーラ、ダンプセミトレーラ)
  • 締固め用機械(ロードローラ、振動ローラ等)
  • 解体用機械(ブレーカ、解体用掴み機等)
  • 高所作業車(作業床の高さ2m以上)

新たに対象となった建設機械も、これまでの加点対象だった機械と同様、自動車検査や特定自主検査を受けている必要があります。

【追加】環境への配慮に関する取組の評価

環境への配慮に関する取組について、環境マネジメントシステムの認証であるISO14001の取得について加点対象とされていましたが、中小規模の建設業者では取得している事業者が少なかったことから、今回、新たに「エコアクション21」を認証取得している場合に、3点が加算されることとなりました。ISO14001と両方を取得している場合は、両方は加点されず、ISO14001の5点、エコアクション21の3点のどちらかになります。

エコアクション21は、中小企業向けに環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)で、ガイドラインに基づきエコアクション21に取り組む事業者を、第三者機関である中央事務局が認証・登録しています。認証・登録期間は2年ごとの更新制で、登録・更新から1年経過後には中間審査も受審します。

総合評定値算出係数の改正 ※令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請から適用

上記のように、今回の改正でW点の評価項目が増加し、合計点が現行の217点から237点にアップします。これにより、P点に占めるW点のウェイトが大きく増加するため、各項目間のバランスを維持するため、令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請以降、総合評定値P点への換算式が× 1900/200から× 1750/200に 変更されます。このため、今回新設される項目で加点がなく、前回と同じ内容の取り組みをしていた場合、P点は下がってしまうことになります。

今回の改正で新設・拡大・追加された評価項目への取り組みを行い、W点の加点を目指す必要がある場合、体制の整備や準備などに時間がかかるものも多く、早めの検討が重要です。

建設業許可や更新、決算変更届、経営事項審査などに必要な書類の作成や申請の代理を当事務所が承ります。お気軽にお問合せください。

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