建設業の許可を受けた者は、請負代金の額に制限なく請負契約を締結することができるようになりますが、一方で許可業者として、様々な義務が課せられることとなります。
1.標識の掲示
常許可業者としての営業の形態を記載した標識をその営業所に、さらに元請工事業者は建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に掲げなければなりません。なお、店舗と工事現場に掲げる様式は違ったものとなりますので、ご注意ください。
サイズは、店舗に設置するものは「縦35センチ以上×横40センチ以上」、建設現場では「縦25センチ以上×横35センチ以上」と決められていますが、材質や色に決まりはありません。業界では俗に「金看板」とも呼ばれています。
2.帳簿等の備えつけ
営業所ごとに、その営業所において締結した請負契約の内容を記載した帳簿等を備えつけなければなりません。
これらは5年間(発注者から直接請け負った、新築住宅に係る請負契約については10年間)の保存が義務づけられています。
また、発注者から直接建設工事を請け負った契約については、帳簿等に加えて、下記の書類を10年間保存しなければなりません。
1.完成図(工事目的物の完成時の状況を表した図)
2.発注者との打合せ記録(工事内容に関するものであって、当事者間で相互に交付されたもの)
3.施工体系図(作成が義務づけられている場合に限る ※下記6をご参照ください)
3.工事現場への技術者の配置義務
許可業者が工事を施工する場合は、元請・下請にかかわらず、すべての工事現場に「主任技術者」を配置しなければなりません。また、元請として発注者から直接請け負った工事で、下請契約の総額が税込5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる場合は、主任技術者の代わりに「監理技術者」を置くことになります。
「主任技術者」になれるのは、その工事業種における一般建設業の営業所の専任技術者となれる要件と同等で、「監理技術者」になれるのは、土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種(指定建設業)では1級国家資格者が、それ以外の業種では1級国家資格者か主任技術者の要件のいずれかに該当し、かつ請負代金の額が4,500万円以上の工事2年以上指導監督的な実務経験がある方が対象です。
主任技術者は施工計画の作成や工程管理など、その工事現場における施工の技術上の管理を行い、 監理技術者はこれに加え、下請人の適切な指導・監督などが業務に加わります。
さらに、公共性のある工作物に関する工事(個人住宅を除くほとんどの工事)で、請負金額が税込4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上の工事を施工する場合は、主任技術者または監理技術者を現場ごとに専任で置く必要があります。他の現場の技術者との兼任は認められません。また、現場に専任されている監理技術者は「監理技術者資格者証」の交付を受けており、過去5年以内に監理技術者講習を受講している必要があります。
専任の必要な工事のうち、密接な関係のある2つ以上の工事を同一の場所又は近接した場所において施工する場合は、同一の主任技術者が兼任することができますが(原則2件程度)、監理技術者の場合は兼任は原則認められていません(一部例外あり)。
4.一括下請負の禁止
自らが請け負った工事を他人に一括して行わせる「一括下請」を行うことは、原則として禁止されています。
5.適正な契約締結義務
建設業者として、適正な契約を締結することが義務づけられており、そのために、様々な規定があります。義務づけられている項目としては、代表的なものとして、以下のような例があります。
1.着工前に書面により請負契約を締結すること
2.請負契約書には一定の項目を記載すること
3.工事原価に満たない価額で下請負人に、契約の締結を強制しないこと
なお、これらの義務は建設業許可を取得していない事業者であっても、課せられる義務ですのでご注意ください。
6.施工体制台帳及び施工体系図の作成
公共工事では下請契約を結ぶ場合、民間工事では4,000万円(建築一式の場合は6,000万円)※以上下請契約をする場合、施工体制台帳や施工体系図の作成が義務づけられています。(※令和5年1月1日以降の民間工事は、下請契約の金額が税込4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)に金額が引き上げられました。)
7.許可行政庁への届出義務
許可申請書に記載した内容に変更があった場合には、その都度一定の届出を行う必要があります。許可要件に係る変更の場合は変更後2週間以内、基本情報の変更の場合には30日以内の届出が必要です。詳細は次の表をご覧ください。
| 許可要件に係る変更(変更後2週間以内) | 事業者の基本情報(変更後30日以内) |
| 経営業務管理責任者の交替、氏名変更 | 商号、名称の変更 |
| 専任技術者の交替、氏名変更 | 営業所の所在地の変更 |
| 従たる営業所の代表者(令3条使用人)の交替、氏名変更 | 営業所の新設 |
| 健康保険の加入状況の変更(従業員数を除く) | 営業所において営業する業種の変更 |
| 欠格要件に該当した | 資本金の変更 |
| 役員等、支配人の就退任 | |
| 法人の役員等、個人の事業主の氏名変更 | |
| 個人事業者が死亡した | |
| 法人が合併、破産手続開始その他の事由により消滅 | |
| 許可を受けた建設業の全部又は一部を廃止 |
また、事業年度が終了した場合には、事業年度が終了してから4か月以内に、決算変更届を提出します。この変更届が提出されていない場合、許可を更新することができませんのでご注意ください。
