農地を農地以外のものにする場合、農地法に基づき都道府県知事等の許可または届出が必要です。農地を農地以外のものにするとは、例えば農地に家や店舗を建てたり、道路や駐車場、資材置場にしたりするというケースです。また、農地の改良を目的に盛土や埋め立てなど(農地造成)を行う場合も原則として許可または届出が必要(一定の要件を満たす場合は許可不要です)ですので、農地造成を行う場合は、必ず事前に農業委員会への相談を行ってください。また、数カ月間だけ資材置場として使う、工事期間中だけ仮設事務所を建てるというような場合でも許可または届出が必要ですので注意してください。

一方、自分が耕作の権利を有している農地に農業用倉庫や温室、畜舎、農作業場等、農業経営上必要な施設を設置する場合で、転用面積が200平方メートル未満の場合には、許可は不要となります。ただし、工事に着手する前に農業委員会への届出が必要です。転用の際に権利の移転、設定を伴う場合や、転用面積が200平方メートル以上の場合は、許可が必要になります。

また、農地転用は「恒久転用」と「一時転用」に分けられます。一時転用は農地をある目的のために一時的に転用し、目的達成後は再び農地に復元する場合で、期間については目的達成のための必要最小限の期間で、3年以内に限定されています。恒久転用は一時転用以外の転用で、地目を変更し、永続的に農地でなくなる転用です。

許可権者は 都道府県知事または農林水産大臣が指定する市町村(指定市町村)の長で、転用面積が4ヘクタールを超える場合は農林水産大臣に協議が必要です。

農地法第4条か第5条か

農地法転用についての許可(届出)は、農地法第4条と第5条がありますが、どう違うのでしょうか。農地法第4条は農地の所有者・耕作者が自ら農地を転用する場合(自己転用)で、農地法第5条は、自分の農地を他者に売ったり貸したりして、買主や借主が転用するような場合です。つまり、転用にあたり、権利の設定や移転が伴う場合には第5条、伴わない場合には、第4条の許可(届出)が必要ということです。

申請は、農地等の所在する市町村の農業委員会に4条の場合は転用する人(農地の所有者・耕作者)が単独で、5条の場合は譲渡人と譲受人の双方が連署して行います。申請に必要な書類は申請先の農業委員会によって異なりますので、事前に確認が必要です。また、農業委員会によっては毎月の受付締切日を設定しているところもありますので、事前に日程を確認し、スケジュールを立てておく必要があります。

許可か届出か

転用の申請にあたり、許可が必要か届出だけで済むのかは、転用予定地が市街化区域か、それ以外かで分かれます。市街化区域内の場合はあらかじめ届出を行えば許可は不要で、市街化区域外の場合は許可申請を行います。対象の農地が市街化区域か区域外かは、農地の所在する市町村の都市計画課などの担当部署に確認するか、インターネットに都市計画図を掲載している自治体では、そちらで確認することも可能です。

農地転用許可基準について

農地転用許可制度では、優良農地を確保するため、農地の優良性や周辺の土地利用状況などにより農地を区分し、転用を農業上の利用に支障が少ない農地に誘導するとともに、具体的な転用目的を有しない投機目的、資産保有目的での農地の取得は認めないこととしています。そのため、許可を受けるには、次の基準を満たさなければいけません。

農地転用許可の基準については、「立地基準」と「一般基準」があります。

立地基準

立地基準は農地の区分に応じた許可基準です。申請に係る農地を、営農条件や市街地化の状況から見て次の5つに区分し、許可の可否を判断します。区分によって、許可の可能性が異なりますので、まずは、申請しようとする農地がどの区分なのかを確認する必要があります。申請したい農地が農振農用地に該当するかどうかは市町村の農政課などの担当部署に、何種農地に該当するかは市町村の農業委員会に問い合わせすれば確認ができます。

農振農用地

市町村が定める「農業振興地域整備計画」において「農用地区域」とされた区域内の農地です。俗に「青地」とも言います。農用地区域内農地の転用は原則、認められません。しかし、農振法によって定められた要件を満たし、やむを得ず転用の必要があると認められた場合に限り、農業振興地域整備計画を変更し、申請地を農用地区域から除外することができます(農振除外といいます)。しかし、農振除外の申請をしたからと言って、必ずしも除外が認められる訳ではないということや、除外申請は年に数回しか受け付けておらず、除外の決定までにも半年から1年程度の期間がかかる可能性があること、また、要件を満たす場合でも、農用地除外後の農地区分が、次の「甲種農地」や「第1種農地」に含まれる場合は、そもそも農地転用ができない場合もありますので、事前に十分な確認が必要です。なお、農振除外の申請は農業委員会ではなく、市町村の農政課などが窓口となっています。

ただし、仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するために行う場合や、農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがないと認められる場合には、例外的に転用が許可されるケースがあります。

甲種農地

市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地で、農業公共投資後8年以内か、集団的(おおむね10ヘクタール以上)に存在する農地で、高性能な農業機械による営農に適している農地です。甲種農地の転用は原則として認められません。ただし、例外として一時的な利用に供するために行うものや、農業用施設や農産物加工・販売施設、その他地域の農業の振興に資する施設、国道や都道府県道の沿道、高速道路等の出入口周辺の流通業務施設や休憩所のような特別な立地条件を必要とする施設などでは、転用が可能な場合があります。

第1種農地

集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地で、集団農地(10ha以上)、農業公共投資対象農地、生産力の高い農地が該当します。第1種農地の転用も原則として認められません。ただし、例外として一時的な利用に供するために行うものや、農業用施設や農産物加工・販売施設、その他地域の農業の振興に資する施設、国道や都道府県道の沿道、高速道路等の出入口周辺の流通業務施設や休憩所のような特別な立地条件を必要とする施設、病院、療養所その他の医療事業の用に供する施設など市街地に設置することが困難または不適当な施設などでは、転用が可能な場合があります。

第2種農地

市街地の区域または市街地化の傾向が著しい区域に近接する区域、その他市街地化が見込まれる区域内にある農地で、農用地区域内にある農地以外の甲種、第1種、第3種農地のいずれの要件にも該当しない農地です。第2種農地では、周辺の他の土地に立地することができないなど代替性がない場合は許可されます。農業用施設や農産物加工・販売施設、病院、療養所その他の医療事業の用に供する施設など市街地に設置することが困難又は不適当な施設などは、代替性がなくても転用可能です。

第3種農地

市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地です。第3種農地の転用は、原則許可されます。

一般基準

一般基準は、立地とは関係なく、土地の効率的な利用の確保という観点から転用の可否を判断する基準です。農地を転用して申請された用途に利用されることが確実と認められない場合や、周辺の農地の営農条件に支障を生じるおそれがあると認められる場合などに、不許可となります。

転用の確実性が認められない場合

転用事業が確実に行われると判断された場合は、転用が認められません。例えば以下のようなケースです。

  • 資金計画や過去の実績などから、転用にあたり、必要な資力・信用があると認められない
  • 耕作者や所有者、抵当権者、共有者など農地の転用行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていない
  • 転用許可を受けた後、遅滞なく(原則として1年以内)に申請した用途に供する見込みがない
  • 行政庁の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合は、これらの処分がなされなかったことまたはこれらの処分がされる見込みがない
  • 申請に係る農地の面積が申請に係る事業の目的からみて適正と認められない
  • 土地の造成のみを目的とするものである(例外あり) など

周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合

周辺の農地の営農条件に支障を生ずるおそれがあると判断された場合は、転用が認められません。例えば以下のようなケースです。

  • 土砂の流出や崩壊、ガス・粉じん、鉱煙の発生、湧水、捨石など、周辺の農地の営農条件に支障がある
  • 農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがある
  • 農地の位置などからみて、集団的に存在する農地を蚕食、分断するおそれがある
  • 周辺の農地の日照、通風などに支障を及ぼすおそれがある
  • 農道、ため池その他の農地の保全または利用上必要な施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがある

その他

その他、次のような場合はにも転用が認められません。

  • 一時転用の場合、一時的な利用の後に速やかに農地として利用することができる状態に回復されることが確実でない
  • 一時転用のために所有権を取得しようとする場合